業務用冷蔵庫とは?

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飲食店を経営するためには必須となる業務用冷蔵庫。「普通の冷蔵庫と何が違うんだろう?」などの疑問はございませんか?

今回はその業務用冷蔵庫についてご紹介をいたします。

また不要となり売却したい場合などに、どのような点が買取時の査定に影響するのかなどについても、併せてご紹介をいたします。

1. 業務用冷蔵庫について

解説

業務用冷蔵庫は飲食店の厨房には必ず置いてあるといってもよい厨房機器です。冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵庫の3種類に分けられていて、まとめて略称で業冷庫などとも呼ばれています。

「縦型冷蔵庫」と「横型冷蔵庫」の2種類に形状が大別されていて、どちらも冷気を作りだしてファンで循環させて庫内を冷やすのが大まかな仕組みとなっています。

家庭用との一番の違いは搭載されているコンプレッサー(※)の出力の違いです。一般の家庭とは異なり、飲食店ではランチタイムやディナータイムには頻繁にドアを開閉するため、冷気が外部へ逃げて庫内の温度が上昇しやすくなっています。しかし業務用は強力なコンプレッサーを積んでおり庫内を急激に冷却することが可能なため、冷たい温度を保ちやすくなっています。

外装がステンレス張りとなっており耐久性が高いことも一つの特徴です。忙しい厨房で人の身体がぶつかったり、ドアを荒く開閉しても簡単には壊れません。

サイズも家庭用と比較して大きく大容量となっているため、大量の食材を保管することが可能です。

次に業務用の冷蔵庫を導入するにあたって着目しておきたい点をいくつかご紹介します。

1. 1. ピラーレス

ピラーレスとは、2ドアなどの観音開き型でドアを開ける冷蔵庫において、左右のドアを閉じた状態で保持するために開口部の中央へ配置されるセンターピラーがないタイプの呼称です。ノンピラーやワイドスルーなどメーカーによって呼称が異なる場合があります。

ドアを閉める際には、ドアパッキンを挟んでセンターピラーに押し付けて閉じるのが一般的な形式となりますが、センターピラーが空間を区切ることで大皿や幅の広い食材が入れづらい、または入らないなど邪魔になる場合があるため、センターピラーを排除したものがピラーレスタイプとなります。

特殊な構造のパッキンを用いてセンターピラーがなくても隙間ができないようにする方式や、ドア側にピラー自体を付けてしまい開けた際に邪魔にならないようにするなどの方式があります。

前述のとおりに大皿や幅の広い食材を取り扱ったり、作業効率を上げたい方におすすめですが、通常の冷蔵庫よりも若干高価になるため検討が必要です。

1. 2. 恒温高湿庫

恒温高湿庫とは、その名の通り庫内を高湿度かつ低温度の状態に保つ冷蔵庫自体の総称で、食材の鮮度維持能力がとても高いことが特徴です。

通常の冷蔵庫では冷気をファンで循環させて庫内を冷やしますが、風が循環することで乾燥して湿度が下がり、食材の水分が徐々に失われてしまいます。

恒温高湿庫は庫内の壁面のみを冷やし庫内を無風にした状態で恒温高湿を保つことで、食材の鮮度維持能力が高くなっています。

庫内の壁面を冷やすには、壁の中に這わせた冷却管にブライン液を循環させて冷却する方式や、壁を2重にして壁内で冷風を循環させて冷却する方式などがあります。

食材の鮮度を重視する飲食店や食材の保存期間を伸ばしたい方におすすめですが、通常の冷蔵庫よりも高価となることや、庫内が冷えるまでに時間がかかるためドアの開閉を少なくする必要があるなど運用上の注意も必要です。

1. 3. インバーター制御

インバーター制御とは、冷蔵庫に使用しているコンプレッサーのモーター回転数を状況に応じて変化させる機能で、電気代に影響があります。

インバーター制御のない冷蔵庫は常に一定の回転数で運転を続けるため、庫内が冷えすぎたり電力を余分に消費しがちですが、インバーター制御のある冷蔵庫では庫内の温度に応じた動きの制御が可能なため、省エネ効果があり月々の電気代が節約できます。

代に家庭用冷蔵庫に導入され始めたのちに代に業務用冷蔵庫でも導入が進み、近年では一般的な機能とはなっていますが、必ずしもインバーター制御が搭載されているわけではないため、ご購入の際にはチェックが必要です。

1. 4. フロンガス

フロンガスとは、冷気を作り出すために使用される冷媒です。毒性や可燃性が低く比較的安全なことから代まではどの冷蔵庫でも使用されていましたが、オゾン層の破壊効果があることが判明したため、以降はオゾン破壊係数が低い代替フロンが使用されるようになりました。

その代替フロンも地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガスであったことから、近年の家庭用冷蔵庫ではフロンを使用せずに自然冷媒を使用したノンフロン冷蔵庫が主流となっていますが、業務用冷蔵庫では未だに使用され続けています。

しかし、SDGsの影響もあるためか以降になり、業務用冷蔵庫でもホシザキやフクシマガリレイなどの主要メーカーが使用する冷媒をノンフロンへ切り替えつつあるため、徐々にすべての製品がノンフロンになっていくでしょう。

フロンが使用されている業務用冷蔵庫をリサイクルなどせず廃棄をする際にはフロンを回収しなくてはならないため、冷媒回収技術者資格を持った専門の回収業者に必ず回収依頼をしてください。

2. お手入れのポイント

お手入れ

せっかく購入した業務用冷蔵庫はやはり長く使い続けたいところ。お手入れをすることで部品にかかる負荷が減り機械が長持ちしますので、そのポイントをご紹介いたします。

2. 1. コンデンサーのフィルター

コンデンサーは冷媒の熱交換に使用する重要な部分です。ここのフィルターにホコリや汚れが付着して目詰まりすると熱交換がしづらくなり、冷蔵庫が冷えなくなる一番の原因となるので定期的に清掃しましょう。

  1. フィルターを取り外します
    フィルターの位置は取扱説明書などで確認してください。
  2. 水をつけたスポンジ、柔らかい布、歯ブラシなどでフィルターを拭きます
    汚れが落ちない場合は中性洗剤をかけて時間をおいてからお試しください。
  3. 乾燥した布で水分を拭き取り乾燥させます
    濡れていると故障の原因になりかねないので完全に乾燥させてください。
  4. フィルターを元の位置に取り付けます
    フィルターのついていない状態での運転は故障の原因になりかねないので早めに作業を完了してください。

2. 2. ドアパッキン

ドアパッキンは本体とドアの隙間を塞ぐ役目を担っていますが、劣化することで隙間ができて温かい外気が流れ込み庫内の温度が上昇してしまいます。定期的に清掃して劣化を防ぎましょう。

  1. 水をつけたスポンジ、柔らかい布、歯ブラシなどでドアパッキンを拭きます
    汚れが落ちない場合は中性洗剤をご使用ください。ただし溶剤の入った洗剤はドアパッキンが溶けて劣化につながりますのでご使用をお控えください。
  2. 乾燥した布で水分を拭き取ります

3. 中古買取時のポイント

買取

中古厨房機器を取り扱うミツギ厨機が買い取りの際に注目するポイントをご紹介いたします。ご紹介する点の状態が良ければ査定時の評価が高くなります。

3. 1. 製造年式

冷蔵庫は「製造から以内」が買取限度の目安となります。製造年式は庫内のステッカーに記載された製造年または型番や製造番号から判別することができます。買取可能な期間を過ぎる前に売却して新しいものを購入するのも一つの手です。

3. 2. 外観

大きな傷やへこみはマイナス査定となってしまいます。汚れが目立つのもマイナス査定となってしまうので査定の前に掃除しておくと良いでしょう。

3. 3. コンデンサーの状態

お手入れのポイントでも挙げたコンデンサーです。コンデンサーが正常に働かないと庫内が冷えなくなり、コンプレッサーや他の部品に影響を及ぼして冷蔵庫自体の寿命が短くなってしまうので、お手入れがとても重要です。

3. 4. ドアパッキンの状態

こちらもお手入れのポイントで挙げたドアパッキンです。ドアパッキンに裂けがある場合にはマイナス査定となってしまいます。

4. おわりに

飲食店には必須となる業務用冷蔵庫についてご紹介をいたしました。本記事がこれから業務用冷蔵庫を購入する方などへのご参考になれば幸いです。

また、ミツギ厨機では中古厨房機器の買取を随時おこなっておりますので、売却をご検討の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

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著者

比留間 豊

ミツギ厨機現代表。中古厨房機器の買取や販売に以上に亘って携わっており、その中で培ってきた知識や経験に基づいた厨房機器に関するお役立ち情報を発信してまいります。