リースでの厨房機器導入について

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厨房機器を導入するにあたり、購入する以外の導入方法がいくつか存在します。

今回はリースでの導入についてなるべく簡単にご紹介をいたします。

1. リースとは

解説

リース(Lease)は英語で「賃貸借」という意味となり、自身が物件(※厨房機器)を購入するのではなく、リース会社が購入した物件を借り受ける形式となります。そのため、物件の所有権は自身(※借手)にはなくリース会社が持つこととなります。

リース期間中はリース会社へリース料を毎月支払い、リース期間が終了するとリース会社に物件を返却します。

レンタルと同じかと思いますが似て非なるものとなっていますので解説いたします。

1. 1. レンタルとの違い

1. 1. 1. 対象の物件

レンタル
レンタル会社が保有している物件の中から選定して借り受けます。

リース
導入したい物件を自ら選定し、リース会社が対象の物件を購入した後に借り受けます。

リースでは導入したい物件が限定されないため自由度が高いです。

1. 1. 2. 保守・修繕

レンタル
レンタル会社に保守・修繕義務があります。

リース
契約内容にもよりますが、通常はリース会社には保守・修繕義務がありません。

リース物件が正常に動作しなくなったなどの場合には自身で修理対応をおこなう必要がありますが、契約内容に保守・修繕作業を含む場合あります。そのようなリース契約はメンテナンスリースといいます。

1. 1. 3. 中途解約

レンタル
原則いつでも解約可能です。

リース
中途解約禁止です。

突然不要となってしまった場合にも、リースでは解約ができず契約も長期となるため、計画を立てて利用することが推奨されます。

1. 1. 4. 契約の期間

レンタル
時間単位、日数単位、月単位など柔軟な期間で設定可能です。

リース
リースの種類にもよりますが、年単位かつ複数年に渡る長期間でのみ設定可能で、最短期間は物件の法定耐用年数の70%(※10年以上の法定耐用年数では60%)です。

レンタルをリースと同期間利用することになる場合にはレンタルのほうが割高となる場合が多く、一時的な使用ではレンタル、長期的な使用ではリースとするのが一般的です。厨房機器の耐用年数は8年のため、リースの最短期間は5年となります。

1. 1. 5. 料金の支払い

レンタル
レンタル会社が定めた料金を契約期間単位毎に支払います。

リース
物件の取得価額に手数料などを上乗せした合計金額をリース会社が算出し、リース期間の月数で割った金額を月毎に支払います。支払う金額は常に一定で変更されることはありません。

契約内容にもよりますが、リースでは最終的に物件の取得価額全額を支払うこととなります。

1. 2. レンタルとの使い分け

短期での使用かつレンタル会社にて希望の物件が提供されている場合にはレンタルのほうが安価となりますので、使用目的によってきちんとした使い分けが必要です。

2. リースのメリットとデメリット

リース単体で見た場合のメリットおよびデメリットを解説します。

2. 1. メリット

2. 1. 1. 初期投資費用の軽減

初期費用が一月分のリース料だけで済むためにまとまった金額を用意する必要がなく、場合によっては複数リースをすることによって他設備との同時導入や複数店舗の同時出店をすることも可能となります。

融資(ローン)とも類似をしていますが、頭金が不要であったり、連帯保証人が不要(※)であったりするなど、リース物件自体が実質的な担保となるために基準が融資よりも緩く手続きも簡便です。

2. 1. 2. 事務管理が容易

物件を購入して所有権を持つ場合、固定資産税のための減価償却計算や納税の手間などが発生しますが、リースでは賃貸借にて処理をすれば(※)毎月のリース料支払い事務だけで済ませることも可能です。また、リース料は定額でリース期間満了まで月毎に支払うことが決まっているため損益管理も容易です。

2. 1. 3. 処分が不要

リース期間満了後には物件を返却するのみで、リース会社が該当物件を処分します。環境関連法による廃棄物処理の規制が厳しくなり処理が煩雑になっていく中、処分時の方法や手間を自身で検討する必要がありません。

2. 2. デメリット

2. 2. 1. 購入よりも割高

リースの料金には取得価額だけでなく税金、金利、手数料などが上乗せされるため、最終的な支払いの総額は購入するよりも割高となります。

2. 2. 2. 所有権がない

リース期間が満了しても所有権はリース会社のままであるため、物件の返却が必要で、以降も使用し続けたい場合には再リース契約をすることになります。

再リース時にも再リース料が発生するため、リース期間が満了しても完全に壊れて使えなくなるまでは同じ物件を使用し続けたいなどであれば、購入するよりもさらに割高となってしまいます。

3. リースの種類

契約の内容によってリースは主に2種類に分類されます。

3. 1. ファイナンスリース

中途解約禁止(ノンキャンセラブル)、全額回収(フルペイアウト)の2つの要件を満たすリース契約です。2つの要件が示すとおり、リース期間満了まで絶対にリース料金を支払い続けますよという内容です。

これまでのリースの説明はほとんどがファイナンスリースの内容です。その中で、リースでは借手に所有権がないと説明をしましたが、実際には所有権が借手に移転するようなリース契約も存在します。そのような契約内容のリースを所有権移転ファイナンスリースといいます。

所有権が借手に移るために会計上も融資と同様の処理となり、リースのメリットで挙げた事務管理が容易となる点もなくなりますが、融資枠を圧迫せずに利用できるのが違いとなります(※)。

所有権が移転しないファイナンスリースは所有権移転外ファイナンスリースとなります。

3. 2. オペレーティングリース

ファイナンスリースに該当しないものがオペレーティングリースとなり、通常では全額回収の要件を満たさないリース契約になります。ファイナンスリースと比較して借手はリース料金が安価となりますが、リース会社は借手から回収できない分を補填する必要があります。

実際にどうするのかというと、リース契約満了後の物件を中古市場に売りに出すことで回収します。つまり、オペレーティングリースの料金は物件の金額から契約満了時の物件の残存価値を差し引いた金額が基準となります。

契約期間が短期であるほど物件の残存価値が高い分、リース料金も安価となり、耐用年数によるリースの最短期間がオペレーティングリースでは決められておらず半年などの短期間でも設定ができるため、有効に利用することで最新の物件を安価に使用し続けることも可能です。

リース会社はリース契約満了後の物件の残存価値を把握しておく必要があるため、中古市場が整備されている物件以外では対象外となる場合があります。

厨房機器は中古での売買が盛んにおこなわれているので、問題なくリース契約ができるかと思います。

3. 3. その他

主なリースは上記の2種類ですが、カーリースのような「対象物件による分類」、メンテナンスリースのような「取引形態による分類」、官公庁リースのような「対象ユーザーによる分類」など細かに分類して呼称されているものがあります。

4. まとめ

  • 初期投資費用を安く済ませたい、一定の年数毎に最新の設備に更新したい、事務管理を省力化したいという場合に、オペレーティングリースでの導入はその特性を十分に生かすことが可能です。
  • 短期間の使用であればレンタル、超長期間の使用であれば融資や割賦払いでの購入が割安となる場合が多く、計画立てた利用が推奨されます。

設備は使用できるけれど支払いを完了しても基本的には所有権がないというリースでの導入は、一見すると手を出しづらい印象があります。しかし、適切に利用することで多くの利点もありますので、初期投資費用にお困りになっていない自己資金が十分にあるような方にも利用をお勧めいたします。

リース契約自体は銀行や物件メーカーの関連会社で取り扱っていることが多いのでそちらに問い合わせる、もしくは、販売店にリース希望を伝えることでリース会社を紹介してもらいましょう。

5. おわりに

飲食店を開業する際に利用することもあるリースについてご紹介をいたしました。本記事がこれからリースを利用する方などへのご参考になれば幸いです。

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著者

比留間 豊

ミツギ厨機現代表。中古厨房機器の買取や販売に以上に亘って携わっており、その中で培ってきた知識や経験に基づいた厨房機器に関するお役立ち情報を発信してまいります。